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イタリア食の歴史 シチリア島 5

   

ローマ人たちも塩漬けやSalamoia(塩分5%以上の塩水漬け)の保存食がビジネスになることに気づき、vaso salsamentaria(塩漬け用の壺)でsalsa(=当時は塩漬け魚)を輸送し始めた。

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Salsamentariaという乾物屋類としてシチリアでは近年まで名残があった。

 

当時の牛肉は、老牛か病気の牛を屠殺したため、異臭がひどく食材としての評価は低かった。

豚肉はオスもメスも食したが、出産直後まだ母乳のでるメスの乳房を珍重。

ローマ人の豪勢な食卓風景にシチリア人は興味を示さず、唯一魚とカタツムリの養殖方法を取り入れた。古代ギリシャ人もBabalukion(小さなバイソン)と呼んでカタツムリを好んで食した。

 

パンも色んな形や粉で作られ、ケシのタネやクミンやゴマが降りかかっていた。また蜂蜜酒に使ったパンも好評。(Babàの源?)

 

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 EnnaのPiazza Armerina郊外にある「ユネスコ世界遺産」Villa romana del Casale(4世紀初めに建設されたと思われる優雅な別荘)の当時の狩猟などの鮮やかなモザイク画を堪能できる。(ビキニ姿で遊ぶ様子や男性をたぶらかす女性の様子も。。。)

   

この地域で作られたらしい当時有名でローマ帝国各地に輸出されたワインPotulanum・Mamertinum ・Tauromenitanumに想いを馳せる。

2017年2月メッシーナ近郊のNaxosで、Leppola・Nerello Mascalese・Nerello Cappuccioの3種類の地ブドウ品種と当時のTauromenitanumとの比較検証研究が始めたと報じられた。

 

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Varrone(マルクス・テレンテイウス・ヴァッロ:共和政のローマ期の学者・著作家・政治家で74作品620巻記し、農業論が有名。)曰く、50種類以上の食用ブドウ品種があり、ワイン用のブドウ品種が185あったと。

毎年美味しいワインでなく、シーズンによって冷水や温水で薄めて飲んだ様子。近代的な濾過技術も無い時代、酸化してビネガーを薄めて飲んでいるようなものと思われる。

 

Poscaという、水にワインビネガーをちょっと入れた安い清涼飲料水(現代風に言えばレモン水?)は、どんな水でも使えたため、行軍の多いローマ軍で流行ったとのこと。(キリストが磔にされた時も、軍人が槍の先にPoscaを浸した海綿で唇を濡らしたらしい。)

 

今でも夏になるとワインを水や炭酸水で割って飲んでも、問題ないですよ。

「昔の人もこーやってた!」とイタリア人のように言いましょう。

 

 

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございます。

ー 続く ー

   

参考資料

ヴィッラ ロマーナ デル カザーレ(ウィキペデイア日本語)

Villa Romana del Casale(ウィキペデイア英語)←詳細