古代ローマ時代の食の歴史を締めくくるのに、当時の生活費と収入例にも触れておこうと思います。
お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
紀元前2世紀ごろの家族4人の1年間に最低必要な食費は、
小麦粉 800kg 60 Denari(デナーリ)
オリーブオイル 68L 10 Denari
ワイン 400L 15 Denari
合計 85 Denari (=約 276,250円)
レガトウス(下方参照)の年収が120 Denari (=390,000円)。
パニョッタ(Pagnotta約1kgのパン)= 1 asse(=約203円)。
レガトウスの年収から家族の食費を差し引いて、家賃や衣服にかかる費用を考えるとほとんど無いに等しい。とは言うものの小麦などは配給されており時折施しものがあった。除隊時には相当な金額を授けられ多くの場合は、農業を営んだり、商売を始めたりできた模様。
比較として、1世紀ごろの家族4人の1年間に最低必要な食費を見てみると、
小麦粉 800kg 130 Denari
オリーブオイル 68L 25 Denari
ワイン 400L 35 Denari
合計 190 Denari (=約 617,500円)
レガトウスの日当は1Denarioで、年収が365 Denari (=約1,186,250 円)。
金で換算すると、87,6gに相当する。(1Aureo =25 Denari. 1Aureo=約6g)
紀元前6世紀ペルシャのキュロス1世軍人の月収は、1 Daride(金貨)で約8gあった。年収に換算すると金換算96gとなり、6世紀前のペルシャの軍人の方が、1世紀ごろのレガトウスよりも多くの収入を得ていたとは驚かされる。
ポンペイの遺跡で発見された資料(紀元後79年)に残る価格は
小麦粉 1 モディオ = 1 Denario (=約25ユーロ=約3,250円)
1 モディオ(modio)= 8 3/4L 小麦用の計量器のサイズ= 6.5kg (?)
パン 1 Kg = 1/8 Denario (約406円)
ワイン 1/2 L = 1/4 Denario (約812円)
お皿 1枚 = 1/8 Denario
売春婦 = 1/2 Denario(約1,625円)
ランプ用オイル = 1/8 Denario
トウニカ = 3 Denari (約9,750円)
トウニカは現代のシャツ+ジーンズ。
ロバ = 125 Denari (約406,250円)
奴隷 = 625 Denari(約2,031,250円)
軽犯罪の罰金 = 6 Denari(約19,500円)
古代ローマ時代の所得について、法律で定められた軍人の収入を年代ごとに比較することがわかり易く、高級取りでは無かったが家族4人が普通に暮らせる金額で現代の平均的な収入と同等と考えられる。
各時代の収入を比較すると、紀元前3世紀ごろのレガトウスの所得を1とするとセンチュリオンが3倍。
紀元前1世紀ごろシーザーの時代は、レガトウスの所得は2倍・プレトリアーノが3倍・センチュリオンは階級により3倍〜10倍。
1世紀になるとレガトウスが約3倍・プレトリアーノが9倍・センチュリオンは40〜200倍に。
3世紀になるとレガトウスの年収は20倍と金額は増えてます。食費も。
レガトウス(Legionario): 軍団長(上級)。元老院を3年以上務めた30歳前後の官職で任期3—4年。
センチュリオン(Centurione): 100人隊長(中級)。戦術上の要。戦闘の指揮から非戦闘時の軍隊生活の総括も。
プレトリアーノ(Pretoriano): 親衛隊。ローマ皇帝を守る先鋭部隊。本国に駐屯が許された唯一の軍隊組織。
「食の歴史 古代ローマ」編はレシピ類を別として今回で一区切り。
金曜日版は来年から「食の歴史 中世」編をご紹介していこうと思います。
今日も最後までお付き合い頂きありがとうございます。
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